NAFTA交渉決裂も、ドル円は揉み合いに終始

NAFTA交渉決裂も、ドル円は揉み合いに終始
東京
東京時間:前日の米中貿易摩擦や新興国通貨安への懸念を背景に、日経平均は一時190円超下落。ドル円は一時110円90銭割れの水準まで弱含んだ。その後は新規の材料も乏しい中、ドル円は111円を挟んで揉み合い、ユーロ円は129円台半ばでの小動きにとどまった。ドル円は111.02レベルで東京時間をスタート。海外時間にトランプ米大統領が2,000億ドル相当の中国製品に対する追加関税を発動する準備を進めていると報じられたことから、米中貿易戦争への懸念の高まりに、日経平均が寄り付き反落して始まると一時110.89まで下落。しかし、市場予想を上回った8月中国製造業PMIなどを背景に、日経平均が下げ幅を縮小させるのを横目にドル円はすぐに111円台を回復。ECB理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁が「ドルの優位性に対抗するために、欧州の単一資本市場の確立にむけて取組みを加速する必要がある」と述べたことを受けて、ユーロ買いが強まるとクロス円に連れてドル円も上昇で反応し、111.14をつけるも値動きは一時的なものとなり、111円近辺での取引が継続。110.97レベルで海外時間に渡った。
ロンドン
欧州時間:発表されたユーロ圏消費者物価指数(次頁参照)が市場予想を下回ったことやイタリアの格下げ懸念、英国の合意ない離脱への警戒感が重しとなりユーロ売りがやや優勢となった。ロンドン市場のドル円は、110.97レベルでオープン。トランプ米大統領が、WTOからの脱退を警告し、中国追加関税が来週にも発動する見通しが伝わる中、リスク回避の円買いが優勢。110.69まで売られ、110.78レベルでNYに渡った。ユーロドルは、1.1681レベルでオープン。トルコ当局がリラ建て預金と外貨預金の税制を変更したことを受けリラが対ドルで大きく反発する中、ユーロも買いが優勢。ノボトニー・オーストリア中銀総裁が「イタリアの混乱を理由に利上げを遅らせるべきではない。」と発言したことも支援し、1.1690まで堅調に推移。しかし、レーン・フィンランド中銀副総裁が、緩和政策の継続を示唆すると1.1644に反落。1.1652レベルでNYに渡った。ポンドドルは、1.3022レベルでオープン。仏外交官がノーディール離脱を示唆したことで1.2993まで売られるも、米飲料大手の英社買収フローの思惑から下げ渋る。しかし、EU報道官がアイルランド国境問題が未解決であることに触れると、1.2966まで下落。1.2989レベルでNYに渡った。
ニューヨーク
NY時間:発表された米経済指標はそれぞれ予想を上回ったものの(次頁参照)反応は限定的。ドル円は110円台後半、ユーロ円は128円台半ばで揉み合い。その後NAFTA交渉決裂の報道を受け、カナダドル、メキシコペソは売られるも、今月5日交渉再開との報道を受け影響は限定的となった。ドル円は110.78レベルでNYオープン。朝方も円買い優勢で再び海外時間安値の110.69まで下落する。その後、対ユーロのドル買いにサポートされ、ドル円はじりじりと上昇し111.08を付ける。終盤は米金利の上昇を受けて、111.13まで戻し、111.11レベルでクローズ。一方、ユーロドルは1.1652レベルでNYオープン。朝方は海外時間の流れを引継ぎ1.1626まで下落する。その後1.1649まで戻すが、米中貿易摩擦のみならず、米・EU間の通商協議も滞っている中(トランプ大統領は自動車関税を双方ゼロにするEUの提案を拒否。またEUは米国が自動車関税を発動した場合、同様の報復措置をとると表明)、ユーロドルは再び下落し、1.1600を割り込み1.1585をつける。米3連休を控える中、終盤は1.1600近辺で推移し、格付会社大手がイタリアの格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げたが、参加者の少ない中ユーロの反応は限定的となり、1.1605レベルでクローズ。
8月の為替市場は、前半は円やドルが全般に強含み、反対に後半は円やドルが全般に弱含む動きを見せた(トルコリラやアルゼンチンペソは月を通して幅広い通貨に対し大きく売られた)。ドル/円相場については、既述の通り円とドルが同様のパフォーマンスであったため、明確な方向感のないまま越月。円高が進まなかったのは、円金利の上昇が限定的だったことも一因だろう。7月末の日銀会合での緩和策修正が決定された後、8/2に日本国債10年物利回りは一時0.145%まで上昇したものの、これがピーク。また、超長期の金利も8月前半までは金利上昇圧力がかかったが、トレンド化は見られず。結局、政策調整公表前日の水準と、ほとんど変わらないレベルで落ち着いているのが現状。先週金曜日の日銀の発表では、9月の中長期債買入れ回数の削減が明らかになったが、7月末の対外公表文「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」にも明記されたように、「金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する」ことで、少なくとも短期的には、金利の急騰劇は見られない公算が大きいと考えている。30日にトランプ大統領は、「米政権は各国に対する為替操作有無の決定方法を検討している」と米メディアのインタビューで述べたが、合わせて(前週に続き)中国の通貨政策を非難している。と同時に、「米国は金融緩和になっていない(we’re not being accommodated by our Fed)」と金融当局の政策をあらためて批判したことからも明らかなように(同インタビューでは繰り返しその点を強調している)、為替(ドル安)に対するこだわりは相当に強いように映る。FRBとして心の内で大統領への配慮を秘めながら、表向きはファンダメンタルズにかこつけた利上げの早期停止を行うというシナリオも想定しておくべきかもしれない。したがって、著名投資家が先週指摘したように、今年4回の利上げは確定的ということはできない状況だ。タイミング的にも、半期に一度の為替政策報告書の議会提出期限を来月に控え、ドルの上値は限定的にならざるを得ないだろう。また、Fed算出のドル名目実効レートは、2月初の水準から10%程度も上昇している。CFTCのデータでは、非商業部門の米国債先物のネットショート持ち高が多くの年限で過去最大規模に膨張しており、ポジションの巻き戻しによる金利の急低下→ドル安という流れには注意が必要だろう。

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