リスクオフが再燃、ドル円は112円台へ反落

リスクオフが再燃、ドル円は112円台へ反落
東京時間:日経平均が8営業日ぶりに反落、500円超の大幅安でクローズする中、ドル円は113円60銭付近から113円丁度付近まで下落。欧州時間:BREXITに関するEU司法裁法務官からの発言やユーロ圏の強い指標結果(次頁参照)が発表されると、欧州通貨買い主導によるUSD全面安の展開。ドル円は112円台後半まで下落。NY時間:欧州時間の流れを引き継ぎ、ドル円は上値重く推移。英国ではEU離脱撤回の可能性を示唆した司法見解で一時、ポンドが買われたが、一方で情報開示を巡る政府と議会の対立で反落。米国株の大幅下落や米金利の急低下を背景に為替はクロス円売り優勢となり、ドル円は112円台半ばで軟調地合い。

ドル円はオセアニア時間、高値113.66を付けると113.59レベルで東京時間オープン。米10年債利回りが9月中旬以来の水準まで低下する中、日経平均株価も上値重く推移し、ドル円もじりじりと軟調推移の展開。結局、ほぼ一貫して下落基調となり、113.08レベルで海外に渡った。ロンドン市場のドル円は、113.08レベルでオープン。米財務長官が1兆2000億ドル超に及ぶ対米輸入拡大の中国の意向を明らかにすると米中貿易摩擦懸念が緩和。ドルが多通貨に対し売られ、対円でも112.73まで下落。112.78レベルでNYに渡った。ポンドドルは1.2743レベルでオープン。英国がEU離脱手続き(リスボン条約第50条)を一方的に撤回することが可能との欧州最高裁の見解を受けて離脱回避を求めるEU残留派が勢いづくとの思惑からポンドドルは1.2840まで上昇。1.2809レベルでNYに渡った。FRBの米利上げペース減速が再度意識され、米長期金利の低下が進む中、海外市場のドル円は日経平均株価が下落したこともあり、112.73まで下落。その後、小幅に値を戻し、112.78レベルでNYオープン。NY朝方はクドロー米NEC委員長がインタビューで「米中自動車関税に関する合意が近い」と述べたことから112.92まで上昇。その後、ウィリアムズNY連銀総裁が「さらなる漸進的な利上げは適切」と米経済に対して強気な見方を示したことから113.02まで上昇。しかしNY午後は米株安債券高が一段と進行し、112.58まで下落。12月5日はブッシュ元大統領追悼の日で米国の株式・債券市場が休場となる中(為替市場は通常取引)、終盤は小動きとなり112.78レベルでクローズ。一方、海外市場のユーロドルは米長期金利の低下を背景にドル売りが強まったほか、EU司法裁判所の法務官が「離脱協定成立までは英国はリスボン50条発動の取り消しが可能」と発言したことが伝わり、上昇したポンドドルに連れ高となったことで1.1419まで上昇。その後、1.1400を挟んで推移し、1.1408レベルでNYオープン。NY朝方は海外時間のドル売りが一巡したことから1.13台後半まで下落。さらにメイ英首相がEUと合意した離脱案が英議会に否認されるとの見方が強まり、ポンドドルが年初来安値を更新する動きにつれ安となり、1.1319まで下落。その後、1.1349まで上昇する局面もあったが、1.1340近辺で小動きとなり1.1342レベルでクローズ。

リスクオフが再燃、マーケットは米中通商協議ではなくBREXITに注目
前日のリスクオンの環境から一変して、マーケットは株下落、金利低下、エマージング通貨や原油価格も軟化し、クロス円も下落。BREXITに関しては、昨日から離脱協定に関する政治宣言についての下院審議が始まり、「反対多数で否決」という結果。11日に行われる離脱案の議会承認を前に、メイ首相が弱い立場にあるという実態が明らかになってしまった格好で、今後の行方について不確実性が高まっている。米中通商問題についても、関税引き上げが先送りされたことに対して「一時的な休戦にすぎない」との見方もあり、リスクオンの展開になることは考えにくいことから、ドル円は上値重く推移か。

昨日のドル/円は113.60近辺から一時112円台半ばまで大きく下落する展開となった。下落の主因は米金利の大幅な低下であり、きっかけとして3日に米2年国債利回りが5年国債利回りを上回る「逆イールド」の発生が指摘されている。2年国債など短期債は目先の金融政策に左右される一方、中長期債は先々の経済情勢や金融政策への期待を反映して動く傾向にある。米経済が堅調であり利上げが今後も続くと予想されるのであれば、年限が長くなるほど金利が高くなる「順イールド」となる。しかしながら、今回のように利上げ局面において「逆イールド」が現れたことは、米金利市場参加者間で景気後退が近い将来に発生し、利上げは打ち止めになるとの思惑が拡がったことを示唆している。実際、ITバブル崩壊前の2000年、サブプライム住宅ローン危機が叫ばれる前の2005年に「逆イールド」は発生しており、不況を示す「経験則」として株式市場でも警戒されていた。そのため、昨日の米株式市場では景気後退を懸念を背景に売りが加速しNYダウ平均は一時800ドル安に陥った。こうした状況に加え、昨日にトランプ米大統領は「私はタリフ・マン(関税が好きな男)だ」と述べ中国に対する制裁関税強化を容易にやめない姿勢を示していることなども鑑みれば、当面はリスクオフの流れから円高方向に推移しやすい地合いが続くと予想する。なお、昨日は米金利市場における経験則が市場を動かしたが、ドル/円相場においても気になる経験則がある。仮に年内のドル/円が今年の最安値水準である104円台半ばを下回らなければ今年の値幅は10円程度と歴史的に小さい水準に収まる。2015年もドル/円の1年間の値幅が10.0円(ブルームバーグのデータに基づく)となり史上最小レンジと騒がれたが、その後の2016年に英国のEU離脱(ブレグジット)、2017年はトランプ氏の大統領当選により大荒れ相場となった。さらに過去を振り返ると、2006年にドル/円相場の値幅は10.9円とやはり歴史的に小幅な値動きとなったが、その後の2007年にパリバショック、2008年はリーマンショックが発生した。ドル/円相場と米金利相場の経験則は、2019年のドル/円相場は荒い値動きの中で円高方向に動く可能性を示唆している。

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