相場観:ドル円はじり高の展開

ドル円はじり高の展開
東京時間のドル円は安値111.15レベルでオープン。Brexitへの楽観的な見方や本邦企業による大型買収発表などを背景に日経平均株価が上昇、円売り優勢となり、ドル円は仲値にかけて堅調に推移。しかし対ドルでユーロ買いが進んだこともあって、ドル円は111円台半ばで上値を重くすると、動意に乏しい中で111.49を付ける場面も見られたが、結局111.45レベルで海外市場へ。ロンドン市場のドル円は111.45レベルでオープン。アジア時間の流れを引き継ぎ111.57まで上昇するも、欧州株が下落したことから円買いが見られ一時111.29円まで売られ111.36レベルでNYに渡った。ユーロドルは1.1621レベルでオープン。アジア時間同様にユーロ買いが続き高値1.1644まで堅調に推移したが、欧州株が下落する中で切り返すと、予想比好調な9月独ZEW景況感に一時押し目買いが入るが下げ止まらず1.1576に低下し、1.1582レベルでNYに渡った。ポンドドルは1.3058レベルでオープンするとすぐに高値1.3087まで買われる。朝方発表の7月の英雇用統計は賃金上昇が予想を上回り買われたものの、直後に1.2989まで急落し1.3台中盤まで買い戻されるなど乱高下する一幕もあったが、じわじわと値を下げ1.3012レベルでNYに渡った。本邦企業による米企業の買収のニュースに海外市場で111.57まで上昇したドル円は、中国が米製品に対する通商報復措置を認めるようにWTOに申請したとの報道にその後は上値追いには慎重な動きとなり、111.36レベルでNYオープン。朝方はバラッカー・アイルランド首相がブレグジット・ディールは数週間以内に決まるだろうとの見方を示したものの、ポンド、並びにユーロの上昇は一時的となるが、米3年債入札を控えたポジション調整と思われる米金利上昇を受けたドル買いに、ドル円はじり高で推移し、海外市場で付けた高値111.57を抜け、111.63まで上昇する。午後は、高値圏での推移が続き、終盤に掛けてトランプ大統領が「カナダとの貿易交渉は順調に進んでいる」と発言したことからカナダドル円が上昇し、ドル円は連れて高値111.64まで上昇し、同レベルにてクローズした。一方、海外市場で高値1.1644まで戻したユーロドルは、その後は昨夜のWTOに関する報道を受けたドル買い等により独ZEW景気期待指数が予想ほど悪化しなかったものの反落し、1.1582レベルでNYオープン。朝方は安値1.1565まで下落するが、その後はアイルランド首相の発言を受け下げ渋り、1.1599まで戻す。しかし米金利上昇を受けたドル買いに上値を抑えられ、ユーロドルは上値の重い展開が続く。終盤に掛けては、英国とEUが離脱合意のため緊急首脳会談とのヘッドラインを受け1.1612まで戻し、1.1605レベルでクローズした。ドル円相場は政治的イベントを睨みながらの神経質な展開を想定。先日の堅調な米雇用統計の結果を受けても米金利やドル円の上昇幅は限定的であり、米国金融政策の相場への影響は小さくなっていると言えよう。今後の注目材料としては米中間選挙、貿易・関税戦争やBrexitの動向と考える。中でもBrexitに関しては10月18日の欧州理事会に向けて合意を図る中、9月は離脱協議に関するイベントが目白押しとなっており、ポンドが相場のドライバーに成りうるとみている。Brexitの交渉は英国がEUから離脱する際の条件を定める『離脱協定』と、離脱後の英国とEUの新たな関係枠組みを定める『政治宣言』の2本立てとなっており、8月末の英ラーブEU離脱担当相とEUバルニエ首席交渉官の会談で双方から「今秋の合意の可能性」を示唆されたのは、『離脱協定』の方である。4日の英議会でも、ラーブ氏は離脱を巡る英国とEUの合意は手の届くところにあるとの見方を示す等、楽観的な見方だ。しかし一方で、EUは7月のチェッカーズ合意には一部ではあるが未だ否定的な姿勢を示している。加えて、このチェッカーズ合意は英国内の離脱強硬派・穏健派議員双方から批判を浴びており、合意直後のデイビスEU離脱相とジョンソン外相の相次ぐ辞任は記憶に新しい。その後も協定の詳細は保留状態が続き、未解決のまま月日だけが経過しているのが足許の状態であり、議員からも、現在の離脱案が議会の承認を得るのは難しいとの見方もある。為替市場も今後の動向を見極めようと、ポンドは1.30前半を推移している。今後、13日の英危機対応閣議では、北アイルランドの国境問題を含めた詰めの作業になると見込まれるが、離脱派議員の造反の流れが顕著になれば、”No Deal Brexit”(2019年3月に離脱協定合意が間に合わず、突然EU法が英国から失効)シナリオとなった場合の対応が協議の焦点になる可能性もある。10日のバルニエ氏や昨日のバラッカー・アイルランド首相といい、高官からは楽観的な発言が続くが、英国内での離脱派議員の落とし所を早いところ決められないと、来月の欧州理事会を待たずしてBrexitへの懸念が高まる可能性は充分に残っていると考えている。9月から10月にかけて英国政府の動向を睨みながら、為替相場は神経質な展開を想定する。

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